2018年にゲノム配列を編集する技術を用いて、世界で初めてヒト受精卵に遺伝子操作を行う実験を行ったと、中国の科学者が発表しました。この発表は世界中から大きな批判を受け、中国政府は科学者を捜査対象としたことを明らかにしています。しかし、科学者が姿を見せなくなってから10カ月経っても科学者の行方は知れず、世界初のデザイナーベビーとなった双子の赤ちゃんも所在がわからなくなっていると報じられています。
2018年11月、南方科技大学の生物学者である賀建奎(He Jiankui)氏が、YouTube上に 「遺伝子編集技術CRISPR/Cas-9で先天的にHIV耐性を持つ双子の女児が誕生した」と公表。
その後、2018年11月下旬に香港で開催された国際会議で、賀氏は研究成果を正式に発表しました。
しかし、国際会議での発表直後、世界中の科学者が賀氏の率いる研究チームへの強い批判と共に、「賀氏の遺伝子編集実験を検証するべきだ」とする共同声明を発表しました。
賀氏は「遺伝子編集実験のデータはいずれ公開する予定だ」と述べていましたが、世界中から批判が集中していることを受けて、中国政府が賀氏に研究中止を命じたことも判明しました。
その後、中国政府の調査によってゲノム編集された双子の実在が確認されました。そして、賀氏は南方科技大学を解雇され、中国警察の捜査対象になったと報じられました。既に2019年1月の時点で「賀氏は自宅軟禁、あるいは警察に拘束されているのでは」と報道されていますが、南方科技大学はこれを否定しています。
科学系メディアのScienceAlertによると、賀氏は2019年1月にアパートのバルコニーで目撃されて以来、公の場に一切姿を現していないとのこと。また、公開すると述べていた実験データも発表されておらず、肝心の双子の健康状態や行方も全くわかっていない状態だそうです。