東大発スタートアップは「不死」の世界を目指す
2019年3月に設立された「MinD in a Device」は
「20年後までに人間の意識を機械にアップロードする」というヴィジョンを掲げるスタートアップだ。
その共同創業者である渡辺正峰(東京大学大学院准教授)は
「機械に意識が宿る」と証明すべく、ラディカルな理論を打ち立てようとしている。
自らの脳を機械と接続し、「機械に意識が宿る」と証明する
MinD in a Deviceの事業内容に入る前に、まずは渡辺の理論を紹介したい。
渡辺は著書『脳の意識 機械の意識 ? 脳神経科学の挑戦』で、意識の謎を解き明かすための大胆極まりない理論を提唱する。
それは「人工意識の機械・脳半球接続テスト」と呼ばれるもので、人間の脳を半分切り、残りの半分に意識の自然則に則ってつくった意識が生まれるはずの機械をつなぎ、
意識が統合されるかを検証するという驚きの方法論だ。
https://wired.jp/series/away-from-animals-and-machines/chapter8-2/
たとえば、光の速さが常に一定であるとする「光速度不変の法則」のようなものだ。
渡辺は「意識」の研究においても、その自然則を導入しようと考える。そのルールとは、「すべての情報に意識は宿る」というデヴィッド・チャーマーズの仮説である。
その検証実験はどのように行えばいいのか? チャーマーズの「情報の二相理論」に従えば、ニューロンの発火・非発火といった側面だけを脳から抽出する必要があるが、
それは簡単ではない。だからこそ渡辺は、チャーマーズや米国の神経科学者であるジュリオ・トノーニの考えに反して、「意識は情報ではなく、アルゴリズムである」と考える。
渡辺が注目するのは「人工意識」を用いて、それを創りながら仕組みを明らかにしようというアプローチだ。そこで参照されるのが、
チャーマーズの「フェーディング・クオリア」の思考実験となる。
これは人間のニューロンをひとつずつ、ニューロンとまったく同じ働きをする人工ニューロンへと置き換えていくという実験だ。
ニューロンの一つひとつの機能は解き明かされているので理論的には可能としつつ、ニューロンがすべて人工物に置き換わったとしても感覚意識体験は残るのではないか、
とチャーマーズは考えている。その理論を発展させ、ニューロンをコンピューター・シミュレーションに置き換えていく「デジタル・フェーディング・クオリア」を考案することで、
コンピューターでも意識をもたせることができるのでは、と渡辺は考える。
ここでひとつ問題が生じる。機械に意識を宿すことが可能になったとしても、それをテストする手法が存在しないことだ。それはチャーマーズが提唱した、
外面的には人間とまったく同じように振る舞うが、内面的な経験である現象的意識やクオリアをまったくもっていない人間を指す「哲学的ゾンビ」と呼ばれる状態になってしまう。
そこで渡辺は自らの主観を用いる、つまりは自らの脳を機械の脳に接続し、自らの意識をもって機械の意識を見極めようというのだ。
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Source: 暇人\^o^/速報
東大教授「脳を半分切って機械に繋げ、機械に意識が宿ると証明する。自分が最初の被験者になる」