これまでナマコは、海底に暮らすほかの生物と同じように、幼生の時期にだけ長距離を浮遊すると考えられてきた。成体になった後は海底をはって暮らし、敵が来たら少し速く動くくらいだと。しかし実際は、はるかに効率的な移動手段を隠し持っているようだ。大量の水を吸い込み、比重を下げることで浮力を得て、海底から離れ、海の流れに身を任せるのだ。
カナダ、ニューファンドランドメモリアル大学の海洋生物学者アニー・メルシエ氏は「ナマコは肛門を含むあらゆる穴から水を吸い上げます」と説明する。メルシエ氏らは1月12日付けで学術誌「Journal of Animal Ecology」に論文を発表した。ナマコは肛門から水を出し入れすることで呼吸を行うが、その呼吸器を水で満たし、膨張するのだ。その後、一部のナマコはひっくり返り、大きく広がった肛門を上にして浮遊する。
1980年代からナマコを研究しているメルシエ氏は、ナマコが膨らむという情報を詳しく調査するため、研究室と実際の海で2種のナマコを観察した。一つは北大西洋から北極海にかけての冷たい海に生息するキンコ属のナマコ(Cucumaria frondosa)、もう一つはインド洋や太平洋の熱帯海域に暮らすハネジナマコ(Holothuria scabra)だ。
研究室では、水中の塩分濃度やほかの個体との密集度、堆積物の状態を変えて、ナマコの反応を観察した。嵐の日や海流の強い海、底引き網漁が行われた後の海底の状態などを再現したものだ。その結果、塩分濃度が低すぎたり堆積物が多すぎると、ナマコたちはその場から逃げ出した。一部のナマコは数分以内に、体に対する水の比率が700%以上にも上昇し、風船のようになって素早く流された。
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Source: 暇人\^o^/速報
【画像】ナマコは700%膨張して海を高速移動 ひっくり返り、大きく広がった肛門を上にして浮遊